銀行選びと比較

海外送金・外貨取引がある法人の口座選び|手数料以外の確認項目

法人の海外送金・外貨受取に適した銀行の選び方を解説。送金手数料だけでなく為替手数料を含むトータルコストの比較方法、メガバンクとネット銀行の違い、送金専用サービスの注意点まで詳しく紹介します。

情報確認日:2026年8月16日編集:はじめての法人口座選びガイド編集部

法人の海外取引において、送金や外貨受取をスムーズに行うための口座選びは、事業のコストと効率に直結する重要な課題です。特に海外送金の手数料体系は複雑であり、表面的な送金手数料だけでなく、為替手数料や中継銀行手数料を含めたトータルコストを把握しなければ、思わぬ出費を招くことになります。本記事では、海外送金や外貨取引がある法人が、自社の取引スタイルに合った銀行を選ぶための確認項目と、メガバンクとネット銀行の違いについて詳しく解説します。結論として、単なる「送金手数料」の安さだけでなく、為替手数料(リフティングチャージ等)、中継銀行手数料、着金スピード、そして「海外からの送金受取」が可能かどうかを総合的に比較して口座を選ぶ必要があります。用途に応じてネット銀行とメガバンクを使い分けるのが現実的です。

海外送金にかかる4つの手数料とコスト構造

法人口座から海外へ送金する際、主に4つの手数料が発生します。これらの仕組みを理解することが、コスト削減の第一歩となります。どの金融機関を利用しても共通して発生する手数料の構造があります [1] [2] [3]。

第一に「送金手数料」です。これは送金手続きそのものに対して銀行に支払う基本料金であり、メガバンクでは数千円程度、ネット銀行では数百円から数千円と幅があります。この手数料は、窓口で手続きを行うか、インターネットバンキングを利用するかによっても大きく異なります。一般的に、インターネットバンキングを利用した方が安く設定されています。

第二に「為替手数料(為替コスト)」です。円を外貨に両替して送金する場合、銀行が提示する為替レート(TTSレートなど)には、基準となるレートに一定の手数料が上乗せされています。この上乗せ分が実質的なコストとなります。為替レートに上乗せされる場合と、別途手数料として徴収される場合があります。送金金額が大きくなるほど、この為替手数料がトータルコストに占める割合が大きくなるため、注意が必要です。

第三に「円為替取扱手数料(リフティングチャージ)」です。これは、円を円のまま、あるいは外貨を外貨のまま送金する場合など、両替を伴わない送金において発生する手数料です。送金額の一定割合(最低金額設定あり)が課されることが一般的です。円建てで送金する場合や、外貨預金から同一通貨で送金する場合にかかります。

第四に「関係銀行手数料(中継銀行手数料・受取銀行手数料)」です。送金元銀行と受取人銀行が直接提携していない場合、間に入る中継銀行が手数料を差し引くため、受取金額が目減りすることがあります。これは送金人負担か受取人負担かを選択できる場合が多くなっています。受取人に全額を届けたい場合は、送金人負担を選択し、追加の手数料を支払う必要があります。

ネット銀行とメガバンクの海外送金サービス比較

海外送金において、メガバンクとネット銀行ではそれぞれ異なる強みがあります。自社の用途に合わせて選択することが重要です。各金融機関によって、手数料の金額や提供されるサービスには違いがあります。

メガバンクは、世界中の多くの銀行と提携しており、高額送金や多様な通貨での送金に対応しています。また、海外からの送金受取も広くカバーしており、信用力も高いため、取引先からの指定がある場合や、大規模な貿易取引を行う法人に適しています。ただし、各種手数料が比較的高めに設定されている傾向があります。

三菱UFJ銀行の場合、インターネットバンキング(三菱UFJダイレクト)を利用すると、窓口よりも送金手数料が安く設定されています(他行あて3,000円、窓口は7,000円) [1]。円建て送金や外貨預金からの同一通貨送金には、送金額の0.050%(最低2,500円)の取扱手数料がかかります。また、海外からの送金受取(被仕向送金)も可能です。

三井住友銀行では、Global e-Tradeサービス(EB)を利用することで、窓口より手数料を抑えることができます(海外他行あて事前受付3,000円、窓口7,500円) [3]。海外からの送金受取も可能であり、被仕向送金手数料は1,500円に設定されています。

一方、ネット銀行は、送金手数料や為替手数料が低く抑えられていることが多く、小口から中口の送金を頻繁に行う法人にとってコストメリットが大きいです。

楽天銀行は、送金手数料が750円と安価であることが特徴です [2]。ただし、円貨送金手数料(リフティングチャージ)は3,000円、中継銀行手数料は送金人負担の場合1,000円かかります。海外からの送金受取も可能で、受取手数料は1取引あたり2,000円です。

GMOあおぞらネット銀行は、Wiseとの提携により、為替手数料(上乗せレート)が無料(ミッドマーケットレートを採用)となっている点が大きな特徴です [4]。送金手数料は送金金額や通貨によって変動します。ただし、海外からの送金受取はできず、送金専用のサービスとなっている点には注意が必要です。

トータルコストを抑えるためのシミュレーション事例

表面的な送金手数料の安さだけで銀行を選ぶと、結果的にコストが高くつくことがあります。具体的なシミュレーションケースで比較してみましょう。

例えば、米国企業へ10,000米ドルを支払う場合(円口座から送金)を想定します。

メガバンク(例:三菱UFJ銀行インターネットバンキング)を利用した場合、送金手数料として3,000円がかかります。為替手数料は銀行所定の為替レート(TTSレート)に含まれており、通常は仲値に1円程度が上乗せされます。支払銀行手数料を送金人負担とした場合、さらに3,000円が必要です。これらを合計すると、手数料6,000円に為替手数料(約10,000円)が加わり、トータルコストは約16,000円となります。

一方、ネット銀行(例:GMOあおぞらネット銀行)を利用した場合、ミッドマーケットレートが適用されるため為替手数料は0円です。送金手数料はシミュレーション例によると約11,453円となります。したがって、トータルコストは約11,453円に抑えられます。

このケースからわかるように、単純な送金手数料の比較だけでなく、為替レートに含まれる隠れコスト(為替手数料)を含めたトータルコストで比較することが非常に重要です。送金金額や通貨によって有利な銀行は変わります。少額送金であれば定額の送金手数料が安い銀行が有利になることもありますが、金額が大きくなると為替手数料の差がトータルコストに大きく影響します。

実務で使える海外送金用口座の比較表

自社に最適な銀行を選ぶための比較表を作成しました。検討時の参考にしてください。

比較項目メガバンク(例:三菱UFJ銀行)ネット銀行(例:楽天銀行)ネット銀行(例:GMOあおぞらネット銀行)
主な用途高額送金、信用力重視、受取も必要小〜中額送金、コスト重視、受取も必要小〜中額送金、トータルコスト最重視(送金のみ)
送金手数料(ネット)3,000円(他行あて)750円変動(金額・通貨による)
為替手数料所定のレート(TTS)に上乗せ所定のレートに上乗せ無料(ミッドマーケットレート)
円建て送金手数料送金額の0.050%(最低2,500円)3,000円-
海外からの受取可能可能不可(送金専用)
窓口対応あり(手数料は割高)なしなし

要注意!「海外からの送金受取」ができる銀行・できない銀行

海外取引において見落としがちなのが、「海外からの送金受取」機能です。日本の法人口座から海外へ送金することはできても、海外からの送金を受け取ることができない銀行が存在します。

特に、一部のネット銀行が提供する低コストな海外送金サービスは、「送金専用」として設計されている場合があります。例えば、GMOあおぞらネット銀行の「海外送金(法人)powered by Wise」は、送金には非常に有利ですが、海外からの受取には対応していません [4]。

自社のビジネスモデルにおいて、海外の顧客や取引先からの入金(受取)が発生する場合は、メガバンクや、受取にも対応しているネット銀行(楽天銀行など)を選ぶ必要があります [2]。口座開設前に、必ず「送金」と「受取」の両方に対応しているかを確認してください。

海外送金用口座の開設と審査のポイント

海外送金を利用するための口座開設やサービス申込には、通常の法人口座開設に加えて、追加の審査や書類提出が求められることがあります。

法人の海外送金では、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策(AML/CFT)の観点から、送金目的や原資の確認が厳格に行われます。そのため、利用には事前登録や審査が必要となります [1] [2] [3]。また、法令により、海外送金取引には法人番号の届出が必須とされています [1] [3]。

事業内容が明確にわかる資料(会社案内、契約書、請求書など)や、法人番号指定通知書などの提出が求められることが一般的です。これらの書類は、自社がどのような事業を行っており、なぜ海外送金が必要なのかを客観的に証明するためのものです。

また、送金先(受取人)の情報も正確に把握しておく必要があります。受取人の銀行名、支店名、口座番号、SWIFTコード(BICコード)、受取人の正確な名称と住所などを事前に確認しておきましょう。これらの情報に誤りがあると、送金が遅延したり、資金が返却されたりする可能性があります。

海外送金口座選びの実行用チェックリスト

口座選びから送金準備までをスムーズに進めるためのチェックリストです。

  • [ ] 自社の海外取引が「送金(支払い)」のみか、「受取」も発生するかを確認する
  • [ ] 主に送金・受取を行う通貨(米ドル、ユーロなど)を特定する
  • [ ] 1回あたりの平均的な送金金額と月間の送金頻度を算出する
  • [ ] 送金手数料だけでなく、為替手数料を含めたトータルコストをシミュレーションする
  • [ ] 送金先(受取人)の銀行手数料を自社負担とするか、先方負担とするかを決定する
  • [ ] 候補となる銀行が、自社の必要な通貨と送金・受取機能に対応しているか確認する
  • [ ] 口座開設や送金審査に必要な書類(法人番号指定通知書、取引を証明する書類など)を準備する

金融機関ごとの差や非公開事項に関する注意点

海外送金に関する手数料体系や為替レートの上乗せ幅は、金融機関によって大きく異なり、また市場動向によって変動する可能性があります。本記事で紹介した手数料や条件は特定の時点のものであり、実際の取引時には各銀行の最新の公式情報を必ず確認してください。

また、マネー・ローンダリング対策の強化に伴い、口座開設や海外送金サービスの利用審査は厳格化しています。審査基準は各金融機関の非公開情報であり、特定の書類を提出すれば必ず審査を通過できる、あるいは送金が実行されると保証するものではありません。

取引通貨や送金先の国・地域によっても、利用できるサービスや手数料が異なる場合があります。特定の国への送金が制限されているケースや、取扱通貨が限られているケースもあるため、事前に各金融機関に確認することが重要です。個別の取引状況については、各金融機関または適切な専門家へ相談することをお勧めします。

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ランキングは広告提携の有無とは分けて評価しています。順位だけでなく、自社に必要な条件も合わせて比較してください。

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この記事の主な出典

内容確認に使用した行政機関・業界団体・金融機関の公式情報です。

  1. 出典 1

    外国送金", (

    三菱UFJ銀行/確認日:2026年8月16日

    記事本文の事実確認に使用。条件は変更されるため、最新の公式情報を確認してください。

  2. 出典 2

    送金手数料|外国への送金", (

    楽天銀行/確認日:2026年8月16日

    記事本文の事実確認に使用。条件は変更されるため、最新の公式情報を確認してください。

  3. 出典 3

    外国送金", (

    smbc.co.jp/確認日:2026年8月16日

    記事本文の事実確認に使用。条件は変更されるため、最新の公式情報を確認してください。

  4. 出典 4

    海外送金(法人)powered by Wise", (

    GMOあおぞらネット銀行/確認日:2026年8月16日

    記事本文の事実確認に使用。条件は変更されるため、最新の公式情報を確認してください。