法人口座の費用を総額で比較する方法|手数料表の読み方と試算例
法人口座のコストは振込手数料だけではありません。初期費用、月額基本料、振込手数料、ATM利用料の4要素を自社の月間取引件数に当てはめ、年間総コストで比較・判断する方法を具体的なカフェ3店舗のケースを用いて解説します。
先に結論
法人口座のコストは振込手数料単体ではなく、「初期費用」「月額基本料」「振込手数料」「ATM利用料」の4要素を自社の月間取引件数に当てはめた「年間総コスト」で比較・判断すべきである。
この内容が役立つ方
振込件数やATM利用頻度が多く、自社に合った最もコストの低い法人口座を選びたい法人代表者や経理担当者。
VISUAL GUIDE
月額の総費用を、4つに分けて試算する
振込手数料の単価だけで決めず、自社の件数と現金利用を入れて合計額を比べます。
- 固定
初期費用
開設時や契約時にかかる費用
- 毎月
月額基本料
口座・ネットバンキングの固定費
- 件数連動
振込手数料
振込件数 × 適用単価で試算
- 利用連動
ATM・現金関連
入出金・窓口利用の費用を確認
自社の月間総費用
固定費と利用量に応じる費用を合算
振込単価ではなく、一年間に出ていく総額で比べる
法人口座の費用は、振込手数料だけでは決まりません。月額基本料がなくてもATM利用が多ければ費用が増え、振込単価が高く見える口座でも、必要な承認・総合振込・相談を一つにまとめられる場合があります。
比較するときは、初期費用、月額基本料、振込手数料、ATM・現金関連費用、追加機能の料金を、自社の月間件数へ当てはめます。料金改定や優遇条件があるため、試算日と料金表の条件も一緒に保存します。
年間総コストへ入れる六項目
表は横にスワイプして続きを確認できます。
| 費用項目 | 集める数字 | 見落としやすい条件 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 契約料、端末・カード発行 | プラン変更や追加IDで再度かかるか |
| 月額基本料 | 口座・法人IB・通知・API | 無料プランで必要機能を使えるか |
| 振込手数料 | 同行・他行、通常・一括、給与 | 件数、振込額、優遇の判定月 |
| ATM・現金 | 入金・出金単価、無料回数 | 利用ATM、時間帯、硬貨対応 |
| カード・追加口座 | 年会費、発行、再発行 | 無料枚数と利用者数 |
| データ・承認 | 明細取得、会計連携、通知 | 必要な権限・承認段階を含むか |
「月額0円」でも、総合振込、給与振込、通知、追加利用者、APIなどが別契約なら、その費用を追加します。反対に、月額プランへ加入すると振込単価が下がる場合は、振込件数ごとの損益分岐点を計算します。
先に一か月の取引件数を数える
料金表を見る前に、直近三か月の平均または今後三か月の予定から、次の件数を出します。
- 同行宛て振込
- 他行宛て通常振込
- 総合振込・給与振込
- ATM入金・出金
- カード利用者と追加口座数
- 明細取得・会計連携を使う担当者数
件数を一つにまとめず、料金区分ごとに分けることが重要です。給与振込が通常振込と別料金なら、同じ「振込50件」でも試算結果が変わります。
カフェ三店舗の試算例
現金売上のあるカフェ三店舗を想定します。これは計算方法を示す仮定であり、特定銀行の現在料金ではありません。
月間取引の仮定
- 他行宛て振込:50件
- ATM入金:20回
- 口座利用者:代表者と経理担当者の2名
- 必要機能:通常振込、入出金明細、二人の操作権限
料金例A:月額あり・振込単価が高い口座
表は横にスワイプして続きを確認できます。
| 項目 | 仮定 | 年間 |
|---|---|---|
| 月額基本料 | 2,000円 | 24,000円 |
| 他行振込 | 500円 × 50件 × 12か月 | 300,000円 |
| ATM入金 | 0円 × 20回 × 12か月 | 0円 |
| 年間総コスト | 324,000円 |
料金例B:月額なし・ATM有料の口座
表は横にスワイプして続きを確認できます。
| 項目 | 仮定 | 年間 |
|---|---|---|
| 月額基本料 | 0円 | 0円 |
| 他行振込 | 120円 × 50件 × 12か月 | 72,000円 |
| ATM入金 | 220円 × 20回 × 12か月 | 52,800円 |
| 年間総コスト | 124,800円 |
この仮定では料金例Bが低くなりますが、現金入金の上限、硬貨、利用可能ATM、権限管理が要件を満たさなければ候補にはできません。費用表の最小額だけでなく、実際に使う機能を含めた同条件比較が必要です。
月額プランの損益分岐点を出す
振込単価が下がる有料プランは、次の式で判断できます。
損益分岐件数 = 月額プラン料 ÷ 1件あたりの値下げ額
月額2,000円で振込が1件50円下がるなら、2,000 ÷ 50 = 40件です。月40件を超えて同じ割引条件が続く場合に、手数料だけで見たプラン加入効果が出ます。
ただし、無料回数、判定月、翌月・翌々月適用、振込種類、税込・税別で結果が変わります。優遇プログラムは「今月50件だから今月安い」とは限らないため、適用時期を料金表へ書き込みます。
三つの会社で重視する費用は変わる
現金を扱う飲食・小売
ATMの入金単価、無料回数、利用可能時間、硬貨・夜間金庫などを振込より先に確認します。現金を別口座へ入れるなら、口座間の資金移動費用も加えます。
外注先への振込が多いIT会社
他行振込単価、総合振込、承認、会計連携を中心に比較します。月額0円でも、一括振込が使えず手入力が増えるなら作業時間を別列に記録します。
給与と税の支払が増えた会社
給与振込、口座振替、Pay-easy、税・社会保険料の対応範囲を確認します。利用できない支払を別口座へ回す場合は、残高移動と管理の手間を含めます。
比較表を作る手順
- 同じ確認日で料金表を保存する
- 自社の月間件数を料金区分へ分ける
- 無料回数と優遇条件を適用前・適用後で分ける
- 月額、振込、ATM、カード、データの年間額を足す
- 使えない機能と追加作業を費用表の横へ書く
- 取引件数が変わる三つのケースを計算する
件数は「現在」「半年後」「繁忙月」の三通りで試算すると、安さが逆転する地点を見つけやすくなります。
年間総コスト試算シート
- 初期費用: [ ] 円
- 月額基本料: [ ] 円 × 12か月 = [ ] 円
- 同行振込: [ ] 円 × 月 [ ] 件 × 12か月 = [ ] 円
- 他行振込: [ ] 円 × 月 [ ] 件 × 12か月 = [ ] 円
- ATM入出金: [ ] 円 × 月 [ ] 回 × 12か月 = [ ] 円
- カード・追加口座・通知・連携:年間 [ ] 円
- 年間総コスト: [ ] 円
- 料金に含まれない作業・別口座: [ ]
業態から候補を絞る段階では、メガバンク・地方銀行・信用金庫・ネット銀行の選び方も使えます。最後は、候補銀行の最新料金と自社の件数で再計算します。