法人口座の事業内容説明:銀行が求める5項目と資料の選び方
法人口座申込時に銀行へ事業内容を説明する方法を解説。登記目的の言い換えではなく、商品・顧客・価格・流れ・現在地を具体的に示し、客観資料と対応させる手順と失敗例を整理します。
先に結論
事業説明は登記目的の言い換えではありません。何を、誰に、いくらで、どの流れで提供し、現在どこまで事業が進んでいるかを示し、客観資料と対応させる必要があります。
この内容が役立つ方
法人口座申込時に、事業内容をどの程度具体的に説明し、どの資料を提出すればよいか迷っている法人代表者・担当者。
VISUAL GUIDE
事業説明を、5つの枠で一枚にする
登記上の目的を読み上げるのではなく、実際の事業と口座で起きるお金の流れを具体的につなげます。
01
商品・サービス
何を提供し、何が対価になるか
02
顧客
主な販売先・利用者は誰か
03
収益
いつ、どこから入金されるか
04
業務の流れ
仕入れ・提供・請求の順序
05
口座用途
入金・支払・給与等への使い方
一続きで説明
誰に何を提供し、どう入出金が発生するか
事業説明は登記目的の言い換えではない
法人口座の申込では、法人の取引目的や事業内容が確認されます。この際、登記事項や定款に記載された「事業目的」をそのまま転記するだけでは、現在の主力事業を伝えきれません。
登記簿の記載は将来行う可能性のある事業も含まれており、現在実際にどのような活動を行っているか、具体的な実態を証明するものではないためです。銀行が知りたいのは、「何を、誰に、いくらで、どの流れで提供し、現在どこまで事業が進んでいるか」という具体的な事実です。
事業説明では、申込フォームに書く内容と提出資料を対応させます。「銀行へ良く見せる文章」ではなく、現在の事業を第三者が同じ意味で読めるように具体化する作業です。
銀行が求める事業説明の5項目と対応資料
事業内容を説明する際は、以下の5つの項目を整理し、それぞれの内容を裏付ける客観的な資料を組み合わせて提出します。
表は横にスワイプして続きを確認できます。
| 項目 | 読者が書く内容 | 対応資料の例 |
|---|---|---|
| 商品・サービス | 何を提供するか | 商品ページ、提案書、パンフレット |
| 顧客 | 誰が購入するか | 契約書、発注書、問い合わせ記録 |
| 価格・収益 | いくらで、何を受け取るか | 見積書、請求書、料金表 |
| 提供の流れ | 受注から納品・入金まで | 業務フロー、契約書、納品書 |
| 現在地 | 開始済み・準備中のどこか | 入出金明細、活動資料、事業計画書 |
銀行ごとに受付可能な資料は異なります。自社の状況に合わせて複数の資料を組み合わせることが重要です。例えば、商品ページだけでは「価格・収益」や「提供の流れ」が分からない場合、見積書や業務フロー図を追加することで、事業の全体像を補完できます。
自社への置き換え:具体的な会社例
5項目をどのように記述し、どの資料を組み合わせるか、具体的な会社例で確認します。
例1:Web制作会社(設立直後・準備中)
- 商品・サービス: 企業向けコーポレートサイトの制作
- 顧客: 中小企業(BtoB)
- 価格・収益: 1サイトあたり50万円〜100万円
- 提供の流れ: 問い合わせ → 見積もり → 受注(契約) → 制作 → 納品 → 請求・入金
- 現在地: 営業活動中、数社と商談進行中
提出資料の組み合わせ例: 事業計画書(商品・価格・流れを記載)、商談中の顧客への提案書や見積書、営業用パンフレット。 銀行が事業計画書を資料例として案内している場合も、必要な項目や提出方法は申込先の条件へ合わせます。設立直後で実績がない会社は、計画だけでなく、見積書や契約書案など現在地を示す資料を組み合わせられるか確認します。
例2:小売業(すでに事業開始済み)
- 商品・サービス: 自社ブランドのアパレル商品の販売
- 顧客: 一般消費者(BtoC)
- 価格・収益: 1着5,000円〜15,000円
- 提供の流れ: ECサイトで受注 → 決済代行会社経由で入金 → 商品発送
- 現在地: ECサイト運営中、毎月売上あり
提出資料の組み合わせ例: ECサイトの商品ページURL、決済代行会社との契約書、仕入先からの請求書、直近の売上がわかる入出金明細。 GMOあおぞらネット銀行は、1つの資料で必要な内容を確認できない場合に複数資料を組み合わせる方法を案内しています。提出点数や受付条件は申込時の案内を確認し、取引記録や入出金明細も同銀行が示す対象・形式に合うものを選びます。
例3:コンサルティング業(個人事業から法人成り)
- 商品・サービス: 経営改善コンサルティング
- 顧客: 飲食業、小売業の中小企業
- 価格・収益: 月額顧問料10万円〜30万円
- 提供の流れ: 契約締結 → 月1回の訪問コンサルティング → 月末締め翌月末払い
- 現在地: 個人事業時代からの顧客を引き継ぎ、継続してサービス提供中
提出資料の組み合わせ例: 個人事業時代の確定申告書、既存顧客との法人名義での再契約書、コンサルティングの提案書やレポートのサンプル。 個人事業時代の資料を使えるか、法人名義での契約が必要かは申込先によって異なります。旧契約と新法人の関係、契約の引継ぎ状況を説明できる資料を整理します。
失敗例と回避策
事業説明でよくある失敗と、その回避策を整理します。
失敗1:登記簿や定款だけを提出する
登記簿や定款は法人の存在を証明するものであり、現在の事業活動を示すものではありません。GMOあおぞらネット銀行でも、登記簿、定款、法人設立届、公共料金の領収書などは、現在の事業活動が分からないため受付不可の例に含まれています。 回避策: 契約書、請求書、発注書など、実際の取引がわかる資料を追加します。
失敗2:ホームページのURLだけを伝える
ホームページだけでは、申込先が確認したい契約や現在地まで示せない場合があります。 回避策: 申込先が受け付ける範囲で、受注記録、問い合わせ履歴、決済代行会社との契約書など、説明を補う資料を整理します。
失敗3:設立直後で資料がないため説明を省略する
設立直後で売上実績がない場合は、申込先が案内する代替資料を確認します。銀行によっては、発注書、請求書、納品書、契約書などを資料例として示しています。 回避策: 事業計画書、見積書、契約書案、許認可などから、申込先の受付条件を満たす資料を選びます。開業準備の領収書などを提出できるかも銀行の案内へ照合します。
失敗4:専門用語を多用し、事業内容が伝わらない
IT業界や医療業界など、専門用語が多い業界の場合、銀行の担当者が事業内容を理解できないことがあります。 回避策: 専門用語は避け、中学生でも理解できるような平易な言葉で説明します。図解やフローチャートを用いて、視覚的に分かりやすく伝える工夫も有効です。
読者が持ち帰るチェックリスト
提出前に、以下の項目を確認してください。
- 商品・顧客・価格・流れ・現在地の5項目が網羅されているか
- 提出する資料の内容と、事業説明の記述が一致しているか
- 資料に会社名、取引先名、日付、金額などが明確に記載されているか
- 銀行が指定するファイルサイズや形式の制限を満たしているか(例:ドコモSMTBネット銀行では8MBを超える資料は複数メールに分けるよう案内しています)
- 1つの資料で不足する場合は、複数の資料を組み合わせて補完しているか
- 専門用語を避け、誰が読んでも理解できる平易な言葉で説明しているか
- 設立直後で実績がない場合、事業計画書や開業準備の経費領収書などで今後の見通しを示しているか