「え、口座1つじゃダメなの?」私も最初はそう思っていました
起業したての頃って、とにかくやることが山積みなんですよね。定款、登記、銀行、税理士との打ち合わせ…。で、「法人口座はとりあえず1つ作ればOKでしょ」と思いがち。
私も12年前、渋谷の小さなレンタルオフィスで法人を立ち上げたときは、みずほ銀行の一口座だけでスタートしました。パソコンも中古、椅子はIKEAで背もたれがギシギシ鳴るやつ(笑)。
でもある日、突然の「入金遅延」と「送金制限」が同時に起きてしまって…。資金ショート寸前で、社員に給料を出せるかどうか、胃がキリキリする思いをしました。

「どうして複数必要なの?」「どんな口座を選べばいいの?」そう感じたあなたに、現場で得たリアルな知見を込めて、3つの理由を解説します。
「突然の口座凍結」で資金繰りがストップする危険
凍結はある日、突然に…
あるとき、三井住友銀行から1本の電話。
「ご本人確認の再提出をお願いしておりまして…」
数日後、なんと口座が一時的にロックされてしまいました。理由は、法人代表者の住所変更届けが反映されておらず、銀行側で不審と判断されたとのこと。
「ちょっとやめてよ!」と思いましたが、怒っても事態は変わらず。入金確認も振込も一切できず、取引先への支払いに遅れが出そうになりました。
凍結理由は多種多様
- 住所変更や代表者変更の未届け出
- 預金の出入りが不審と判断された
- 反社会的勢力との取引の疑い(誤検知含む)
- マネロン対策の強化
特にネット銀行では、AIによる自動監視が強化されていて、「一時的な凍結」が起きやすくなっています。
「代替口座があるだけ」で命拾い
私はその後、住信SBIネット銀行とGMOあおぞらネット銀行の2つを追加開設。以来、1つの口座に依存するリスクは劇的に減りました。
1つの口座が止まっても、他で回せる――それが「複数口座」の最大の保険なんです。
「送金制限・利用上限」が足かせになるから
「振込は無制限でできるでしょ?」
意外と見落とされがちなのが、「1日あたりの振込限度額」です。
例えばGMOあおぞらネット銀行では、初期設定では1日200万円まで(セキュリティカード利用時)。法人の決済額としては、すぐ限界に達します。
ある月末、4件の外注費を振り込もうとして合計300万円。振込予約していたはずが、「上限超過」で決済失敗。冷や汗が出ました…。
法人振込限度額の比較(2024年時点)
銀行名 | 初期設定限度額(1日) | 増額可能か |
---|---|---|
住信SBIネット銀行 | 100万円(初期) | あり |
GMOあおぞらネット銀行 | 200万円(初期) | あり |
楽天銀行 | 100万円 | あり |
三菱UFJ銀行 | 300万円 | 要申請 |
口座分散で送金ストレスゼロへ
法人の規模が大きくなると、外注費・仕入れ・広告費など、1日数百万~数千万の出費もザラ。複数口座を持っていれば、同日中に別口座から分割送金が可能になります。
例えば:
- メイン:GMOあおぞらで200万送金
- サブ:SBIで100万送金
- 補助:楽天銀行で広告費を引き落とし
こんな分散運用で、資金の動きに柔軟性が生まれます。
「取引先・税理士・サービスごとに最適口座が違う」
意外な盲点「口座の相性」がある
実務経験が浅いと見落としがちですが、銀行によって相性の良し悪しが存在します。
例を出しましょう。
- 経理ソフトfreeeは、GMOあおぞらとAPI連携が強い
- 税理士は地方銀行の方が取り扱い慣れているケースもある
- 大手クライアントは、ネットバンクを信用しないこともある
経理が大混乱した月末
freeeとAPI連携していない銀行をメインにしていた頃、CSVで手動アップロード。ある月末、入力ミスが重なり、未処理項目が50件以上に…。税理士に怒られ、資料の修正に丸2日潰れました。
口座をfreee対応に変えたら、自動取り込みで作業は1/5以下に。
「保険・効率・信用」の3本柱が、複数口座の価値
最後にまとめます。
- 万が一の凍結対策に、口座の分散は不可欠
- 送金限度の壁は、複数口座で越えられる
- 経理・税務・信用面で、使い分けはメリット大
法人口座を増やすことは、コストではなく経営のリスクヘッジです。

そう感じた方は、私が実際に使ってきたおすすめ銀行を以下にまとめました。時間と手間を節約したい方は、ぜひこちらもチェックしてみてください。
実務経験者が選ぶ!おすすめの法人口座3選
銀行名 | 特徴 | 向いている人 |
---|---|---|
住信SBIネット銀行 | セキュリティが強く、外貨もOK | 輸出・輸入ビジネスをする人 |
GMOあおぞらネット銀行 | freeeとの相性◎・API連携がスムーズ | 経理を自動化したい人 |
楽天銀行 | 楽天経済圏に強い・振込料金が安い | コスト重視のスタートアップ |
あなたの「未来の資金繰り」は、今の選択で変わる
口座が1つしかないと、倒れたときに全てを失う。
でも、口座が3つあれば、どれかが支えになってくれる。
それって、会社経営だけじゃなくて、人付き合いにも似てますよね。
どれだけ備えているかで、「いざ」という瞬間の命運が分かれる。
あなたが今から作る法人口座が、未来の自分を救うかもしれません。
